能勢氏の武士団・西郷衆 山辺城・森上城・今西城/浮ノ城・吉村城 ・栗栖城・大里城

北摂：豊能郡 (五万図＝広根)
近畿の山城　山辺城　 森上居館・森上城・今西城　吉村城
　　　　　　　　　 浮ノ城　大里城と栗栖城
　岐尼神社 　湯小屋の森　新宮神社と垂水大日堂
稲地境の長谷川沿いに山田城遠望

豊能郡能勢町には30数ヶ所の城址 (壊滅含む)が確認されているようですが、特に能勢町南西部の今西・森上・宿野周辺地域は能勢から丹波篠山(福住 )へ抜ける能勢街道(R173号)や丹州街道(岐尼神社から南へ折れ上杉から上阿古谷を猪名川町へ抜ける府道603号か?)や池田街道・妙見街道(府道4号線)等が交差する要衝で摂津池田・能勢・丹波に通じる物資の 集散地の重要拠点を押さえる為・
森上城：南尾根から東曲輪に入る土塁虎口

周辺の 丘陵部の殆どが山城跡と思えるほどに多くの城砦群が集中するが、殊に他の城砦を圧する堅固な要害を誇る縄張りを見せる山辺城(北摂最大規模の城郭)と森上城。今西城・山田城・上杉城等が在り、能勢氏に属して川辺郡猪名川町の塩川氏に対峙した北摂の武士団西郷衆 (山辺・垂水・森上等の枳根庄、宿野・片山 ・栗栖等の西郷地域)がいた。
森上城西端の大堀切

天文18年(1549)森上城・今西城を拠点として森上城主：能勢小重郎が能勢に侵攻してきた多田城<川西市>・山下城<川西市>の 塩川伯耆守国満?は稲地の天神山に布陣して対峙して戦った枳根(岐尼)の宮合戦では、 敵将の塩川修理亮・主膳正の兄弟を討死させているが、今西城森本左衛門・山田城山田帯刀・山辺城大町右衛門(豊後守宗清?)・栗栖城水原右衛門尉・長谷城長谷一貞・宿野城・井内城井内孫之進等の西郷衆が迎え撃ち勝利している。討たれた修理亮・主膳正兄弟や塩川勢を、 敵ながらも哀れみ亡骸を埋め古戦場を語り継ぐ「多田塚」が”稲地区字しゅけ”に残る。摂津は源満仲が多田荘を拓いた多田源氏発祥の地。
浮ノ城：主郭北西斜面の大竪堀

嫡男頼光を摂津源氏の祖とし、多田�ｮ綱の孫 国基が摂津国能勢郡の地を領して能勢氏を称して 一族が田尻荘を本拠にしていたと云う。多田氏が京都の情勢に関心を持たず領内の開発に邁進していたが、能勢氏は 在京の御家人として足利幕府に出仕し、田尻荘の地頭職を得て所領の田尻・野間地方に勢力を拡大していく。西郷衆と呼ばれる北摂の地侍達も森上城の 源(多田)満政を祖とする清和源氏(摂津源氏)で、
栗栖の府道4号線：山辺川の 柳橋から望む吉村城

枳根庄内の開発に務め・領地の安堵・保全の為 !!?能勢氏に属して 塩川氏に対峙し、天文18年の杵根ノ宮合戦には森上城に集結して防戦し以降、能勢氏vs塩川氏遺恨 ・因縁の小競り合いが続くが、天正７年(1579)織田信長の摂津攻めに織田信澄・塩川伯耆守国満の連合軍により、 西郷衆の多くは討死し山辺城・森上城・山田城は悉く落城して残った西郷衆も帰農して終焉する。
(広報のせ”文化財への道”等を参照)



　山辺城　森上城・今西城　 浮ノ城 吉村城　大里城と栗栖城


山辺城(鷹爪城・小富士の城) 　鷹爪山・能勢富士 434m<主郭>・<4等428mは三ノ丸> 豊能郡能勢町下山辺

能勢富士とも呼ばれる鷹爪山に鷹爪城・小富士の城の別名を持つ 山辺城がある【山辺城画像は此方にも添付】。過去に登山レポートした東北方からの藪尾根コースは丸太・階段で遊歩道並みに整備され見違えるが、 行き先案内導標も山城である旨の案内板・説明板が 山上曲輪内にも設置されていない?。
大里城側からの鷹爪城

訪城だけが目的なら 南方の府道54号線沿い月峯寺・城山台住宅地最奥の配水施設付近からなら１０分程度の最短ダイレクト・ルートになるかも!!。 能勢西郷衆の武家屋敷は城址の西山麓に有った様で、大手道は山上部付近で傾斜がきつくなるが西林寺背後の大手谷?と呼ばれる谷筋から南東尾根筋と思われます。城山は二つの峰から成り最高点(北峰434m・比高約 200m)に主郭とニノ丸、
鷹爪城・土塁が四方を廻る東出曲輪(西虎口と空堀土橋)

4等三角点 (428m)の埋まる南峰に広大な曲輪：三ノ丸が在り、大手は南西にあって、 二つの峰を鞍部で分ける中間の中ノ丸(東郭)に登り詰める。南峰の三ノ丸北西の虎口から北峰の主郭に至る西面の腰曲輪・帯曲輪には所々に石積・石垣跡が遺り、殊に二ノ丸から主郭にかけての西面に集中するが
鷹爪城三ノ丸(中程右下へ虎口・三角点は正面最奥)

主郭虎口部には土塁と組んだ ?枡形状の石組(Ｌ字状)がある。三の丸側の西面には巨岩 ・立石が自然の切岸を形成していて壮観です。 三の丸東側の高い切岸を中ノ丸曲輪から東へ延びる尾根筋は堅固で竪堀・堀切土橋・土塁遺構は此処に集中して観られます。
鷹爪城・二ノ丸石垣から主郭

本城とは異なり後世の修築か?陣城を思わせる縄張りで、四方に土塁を廻らした東出曲輪が搦手を固めている。 尾根筋東西二ヶ所に虎口を設け、東尾根側に面する土塁外側には空堀(横堀)を ・西尾根側には空堀土橋が長く延び、 空堀外には土塁が付く!!。此の堀切や空堀(尾根筋沿いの横堀)に付随する土塁は、
鷹爪城：東出曲輪：東土塁虎口<左>・正面土塁外側には横堀)

東出曲輪は土塁囲み曲輪の東に細長い曲輪がありコの字状に低土塁を築く東先端の土橋付き堀切から更に東尾根の遊歩道を降ると南尾根分岐点。踏み跡が有り月峯寺東北・府道54号に先端が落ち込む。広い平坦地と鞍部の細い尾根を 土橋状に食違い堀切(竪堀)?がある<後述>。
鷹爪城・東出曲輪の東面切岸と空堀 (横堀)

分岐から先：東尾根を降ると堀切土橋で南側は空堀(横堀)と大土塁が曲輪は無い ?が尾根筋沿いに有る。その尾根筋を降っていく先にも大堀切(自然地形?)を見る。以前：東出曲輪から月峯寺へ谷寄りに水道施設横へ下ってきたが、東曲輪遺構といい・南へ延びる尾根末端が街道を監視出来る 位置に在り月峯寺から辿って見ようと、
月峯寺東北背後の南尾根(仮：東砦?)の食い違いクランク土橋と左右に空堀(竪堀)

墓地・擁護施設横からは城山台住宅地へ向かわず、ゴミ集収コンテナから谷沿いに水道施設へ向かう。何の施設跡か崩壊のコンクリート壁も懐かしい。随分と薮化しているが道は歩き易い。水道施設から尾根筋に入った途端…大きく深い竪堀状が屈曲して短い尾根上から落ちる。
月峯寺東北背後の(仮：東砦?)への鞍部取付き付近のクランクする空堀

尾根に上がると尾根続き反対側(東)へも交差して竪堀が一条落ちる。東出曲輪に通じる此の尾根伝いにも多くの空堀状・土塁状を見るが、堀や堀横の段差に土砂流出を避ける石積を見かけ、此れも崩壊による自然地形かもしれないが、南への尾根筋や南末端部の思わぬ広い平坦地形・西端には切岸処理した幅狭い腰曲輪状 (近年の山仕事用に通路等は不要と思われる地形)も有る。
鷹爪城二ノ丸西：帯曲輪西面基地技師の石垣

本城や東出曲輪に対する要衝監視の東砦と有事の際の武者溜りを兼ねたものか？。先程のクランクする空堀が迎撃用ダストシュート?なら月月峯寺背後から府道54号線側に短時間で出撃可能!!。東出曲輪側には南尾根に東砦・東尾根続には明確な曲輪遺構は少ない?が土橋・竪堀・空堀・堀切・土塁を遺す。 西面が大手なので西林寺付近の西尾根末端付近にも西の砦遺構が残る可能性は高いと思えます。
鷹爪城・二ノ丸側に残る石積

山辺城は最高地点434mと鷹爪山 (点名：城山 4等三角点 428m) 山頂に在って摂津・丹波の国境に位置し剣尾山を背に南に今西 ・森上・山田、南に吉村・栗栖・片山等の諸城を望み丹州街道【池田街道から川辺郡・三田市や京都丹波(京都亀岡・南丹市や篠山市)に通じる】を眼下に見下ろせる位置にあります。
鷹爪城主郭と二ノ丸間の曲輪

能勢街道・丹州街道を押さえる要衝にあって、西郷衆諸城が連携し 防御に当たったのでしょう。 平安時代：寛弘年間(1004〜12)頃から城の整備が始まったといわれ、康平6年(1063)源頼光の城だったとも云われ、 平氏一族で?代々多田氏に仕えた大町氏が此処を拠ったされます。鎌倉期に入った建久2年(1191)能勢国基(能勢氏の祖)が能勢に入って以後は能勢氏配下の多田家御家人西郷衆の一：大町右衛門尉平宗長が天文年間 (1532〜55)が在城していたと伝えます。
鷹爪城主郭南西角の枡形?石積虎口部

天正７年(1579)8月織田信長に離叛した荒木村重(伊丹城主) に同調した能勢氏と西郷衆の諸城に対し、織田信澄（信長の弟）・ 塩川伯耆守国満(山下城主)を大将として、丹羽長秀・中川清秀・筒井順慶等の連合軍で攻め入った。 山辺城(鷹爪城)は大規模城郭のうえ土塁・虎口・空堀・竪堀等の縄張り技巧的にも、まして石積・石垣を施した曲輪には、とても能勢西郷衆の一領主：大町氏が築いたとも・当地支配の能勢氏が其れを許したとも思えず、
鷹爪城：巨岩を切岸に組み込んだ三ノ丸西面(南西角腰曲輪下から)

能勢氏の詰め城とも云われ 能勢丹波守義純が守将で居り、能勢氏・西郷衆等勢力にとっては規模も優れ極めて重要な城だった。大町豊後守宗清・弥太郎宗治の兄弟も共に栗栖に討って出て戦うが討死し、山辺の城は兵火に焼け落ちたと云う。 宿野城をはじめ片山(塩山肥前守信景)・森上・今西・山田の諸城はことごとく殲滅され、 神社仏閣にいたるまで焼き尽くされた。


森上居館と森上城／今西城
森上居館・森上城(枳根城・南面之城・桝形の城)　城山・大明山328m　能勢町森上

R173号(能勢街道)栗栖の交差点で府道602号線に入ります。500m程の先右手に岐尼神社(蓮華寺の南)が有る。交通量が多いが周辺にはJA駐車場以外に路駐スペースも無く、直ぐ先の岐尼(きね)神社の参拝者用 駐車場を利用させてもらう。森上城・今西城へは駐車場東の路地奥左手の駐車場から竹薮(平坦段が気になるが古墓地跡かも ?)を抜け出て更に北・集落北端の山裾沿い舗装地区道伝いに、谷間を北に入る舗装林道を約100m程で右手斜面を丘陵上に向えば、
森上居館跡の分厚い大土塁・長く幅のある空堀

尾根筋の踏み跡伝いが今西城に続くが、初めての訪城では判りにくいかも!!?。今西小学校東を北方へ抜ける 地図上の破線沿いに、谷筋を詰め今西城を目指しても行けそうだが城蹟への一般登山ルートは無い。西中学校背山を目指して 南側正面から山に向うほうが良いのかも？。岐尼神社から郵便局前まで引き返し、以前は西中の西側・吠え立てる犬に嫌気が差すが、
森上城：南出曲輪末端の櫓台状マウンド

意を決して民家前の栗林脇の細道を抜けて潅木の繁る谷筋から稜線を目指すと、程なく明確な踏み跡が現われる。今回は更に西中の東 奥に少林禅寺が見える坂道を上がっていく。寺で行止りと思えたが 西中学校敷地裏手に進む藪道が有る。 小さな谷を越して其の藪道に入ると左手は高く分厚い土塁が長く延び・右手は山側斜面に挟まれた東西約60m程の空堀で、
東郭と西郭を繋ぐ主郭南面の土塁・横堀は中央に仕切土塁がある

藪中の先程越してきた谷筋が既に此の空堀の一部!!。コの字状で堀底幅も広い大空堀を廻した 森上居館で遺構は此の空堀だけだが、西へ進むと段曲輪跡と思われる切岸を落とす平坦地形が在り、森上城 山麓の中学校敷地内から岐尼神社背後にかけての竹薮内一帯が能勢氏累代の居館跡と推察できます。森上館の詳細は不詳ですが居館と”詰め城”の森上城・更に今西城が僅か100m程西の尾根続に在って森上城の支城か出曲輪 ・砦か?。
土塁が囲む東曲輪(南虎口より)

森上・今西の二城というより一城別郭で、 築城目的共に同時期に築かれた城砦と思われますが、根小屋(居館)と詰め城 ・砦までがセットで遺る城遺構は珍しいかも!!?。 ただ山麓の遺構は寺社・戦前戦後の軍や民間の開発・改修もあって、全て城址関連とは決められないかも!?。
森本城：主曲輪内の方形石列は祭祀の基檀か?

森上城・今西城・森上館は東方を丹州街道=能勢街道(R173)沿い南北に山辺川が、西方から南へは川辺郡猪名川町から能勢街道や 岐尼神社から南へ摂丹街道 (府道603号)に繋がると山田川沿いの道が通じる。此の二つの川に挟まれて・北西から延び出す低丘陵上の点名今西(3等三角点)の南端に森上城の出城 ・出曲輪か?今西城が在り、 堀切を越え緩衝帯の様な平坦地形を東へ約150m程の尾根端 ・城山と呼ばれる大明山山頂には森上城が在る。森上城主郭は周囲に土塁を廻らし主郭内の中央北寄りに 方形石列を廻す基壇がある。祭祀か祠跡か？不明。
深く急な北斜面の主曲輪土塁・東曲輪側のコーナー部

其の東西にも土塁で囲まれた曲輪が配されています。 今西城に続く尾根側の広い西曲輪は大堀切で仕切られ、南角には竪堀も見られる。何れの土塁も残存状態は良く・高さもある。 東曲輪は東尾根筋を二重堀切で防禦し・北側にも二条の竪堀もある。東曲輪から主曲輪の南切岸下を西曲輪へは土塁空堀(横堀)が延びているが、
西曲輪から主曲輪の高く分厚い土塁

中程には仕切り土塁がある。下東曲輪の南に土塁虎口が開き虎口受けの小曲輪から南へ延びる尾根筋は南出曲輪か ?(尾根の先端部が段差1m程だが広い方形の櫓台とも思えるマウンド状台地がある)。此の疎林の尾根筋下降は下部で 深い下草藪に突っ込むが、右手寄りに進むと森上居館の空堀跡・少林禅寺の裏手に降り立つ。 森上城は源経基(つねもと)の次男源(多田)出羽守満政が居城したと云い、平安時代中期の天暦7年(953)には 築城されていた様ですが定かではありません。
森上城：西端の深く堀底幅のある大堀切

能勢氏と塩川氏の合戦の舞台となり、天文年間(1532〜55)森本清左衛門尉景久により改修されとされます。天文18年(1549)能勢小重郎がこの城に拠り、侵攻してきた多田城 ・山下城(川西市)塩川伯耆守国満の軍と戦い撃退した杵根ノ宮合戦で塩川修理亮 ・弟主膳正を討死 させた際の本陣(?根城 )となったと考えられます。足利将軍義昭を奉じていた信長が、自ら天下布武を号令し天下統一を進めて、離叛した丹波勢の 攻略を開始した天正3年(1575)将軍に仕えてきた能勢�ｮ道は、 誘いを退けたが敵対する事はなく弟：�ｮ郡が光秀方に属している。天正6年(1578)織田信長に離叛した荒木村重に付いた丸山城主能勢�ｮ道は、 天正8年塩川国満により山下城に謀殺され、
平坦尾根の先に突然現れる今西城西面の堀切

織田信長の摂津攻めによる織田信澄 ・塩川伯耆守国満の連合軍により、西郷衆の多くは討死し山辺城 ・森上城・山田城は悉く落城。残った西郷衆も帰農して北摂の戦国時代も終焉を迎えた。 能勢氏は�ｮ道の弟：�ｮ次が家督を継ぎ防戦するが敵わず・為楽山城(妙見山)に移り抵抗を続けていたが、天正10年 (1582)本能寺の変に、羽柴秀吉軍の河原長右衛門宣勝が大軍で丸山城に迫まり落城。 為楽山城の�ｮ次は城を出て丹波桑田郡・大和の郡山・備前岡山へと諸国に落ち延び宇喜多家に属し・さらに豊臣秀長に仕えていた様。
今西城西北の大堀切と尾根続き側の土塁

天正12年(1584)能勢頼次が秀吉の九州遠征に従軍し 不在中の手薄を好機とみた多田城の塩川勢が能勢に侵攻したが、知らせを聞いた能勢�ｮ次の報告を聞いた秀吉命により天正14年(1586)報復の塩川氏攻めを許され勝利したか?、勝手に戦を仕掛けた国満に激怒し池田輝政・片桐且元 ・堀尾吉晴等に討伐を命じて山下城を囲こみ、秀吉に許されないと知った塩川国満は山下城を開城し自刃している。能勢�ｮ次は豊臣断絶後は徳川家康に従い関ヶ原の戦いに軍功が有り・旧領能勢を回復して 能勢氏中興の祖と云われ、徳川氏の信頼を得て旗本として、また大阪方の備えとして地黄(丸山城側)に一国一城を領有する。


今西城(今西砦・岐尼城・杵の城・森本城) Ca315m 　　豊能郡能勢町今西

岐尼(きね)神社の背山に在って尾根続きの東方僅か150m程には土塁囲み・堀切・竪堀 ・虎口等の遺構残存の状態も良好で、今西城の主城ともみる森上城がある。雑木の藪に埋れそうな森本城とは対照的に明るい稜上(今西城間の緩衝帯か?自然地形だが曲輪として使用されていたものか?)の先に掘切が現れる。今西城は主尾根に主曲輪(約20�u程)を置き東面と、枝尾根を岐尼 (ｷﾈ)神社背後に落とす南に一段腰曲輪・ 西面の尾根続き堀切側には土塁を積み、
単郭の今西城の曲輪

点名今西(3等三角点 337m)側には主郭から一気に深い空堀を形成させ切岸高い堀切で 三方を仕切って防備強化を図る単郭(城域は約40�u)の城です。切岸の一箇所が山道として崩されている北寄りに西の堀切底を抜けて今西(3等三角点 337m AM10:10)へ向います。
主曲輪の南尾根側に一段の腰曲輪：今西城

西側尾根続きは堀切側に土塁の盛り上がりを見るが、 差j器に延びる長い平坦地形に曲輪等の遺構はなさそうです。 三角点標石が埋まる最高地点付近が狼煙場なら、西方の山田城・浮ノ城・垂水城や東に山辺城・吉村城・片山城が、 南には上杉城・三草山城等への通信手段としては有効ですね。天慶年間!!(938〜46)か長保2年(1000)頃源(多田)満政の三男 山田兵部大輔満重の築城ともいわれる単郭の山城で三方を深い堀切で遮断し縄張りの独立性を強めており、
今西城：西北側の大堀切と尾根側の土塁

西北側の堀切が特に深い。天文年間(1532〜55)には東方の森本城と共に森本清左衛門尉景久が改修したと思われ、 森上城の出城的性格を持つ城とも考えられており北側山腹には狼煙をあげたといわれる所があります。杵根ノ宮合戦の際は、 本城の森上城と共に塩川勢と戦った砦です。「能勢町の山城」の調査データに有る森本与三右衛門朝景・森本主殿助景康については出自を豊能郡誌 ・能勢町史等で未調査の為不詳です。
(能勢町の山城：高橋成計　広報のせ”文化財への道”　Wikipedia等を参照)


浮ノ城　　　Ca290m 　　豊能郡能勢町山田下所

篠山市安田の交差点(延喜式の山陰道の小野駅跡や福住宿 ・本陣(脇本陣か?)が置かれていた京街道・綾部街道・能勢街道が交錯する要衝)からR173号(能勢街道<丹州街道=池田街道 >)ではらがたわ峠を越えて能勢町山辺地区に下ってくる。玉泉寺付近の西方から府道 602号線の山田側へ浮峠を越えるのが旧丹州街道で能勢町下所に下りてくる。
浮ノ城主郭北面の腰曲輪切岸と鞍部の東竪堀(手前)

はらがたわ峠も此の小さな浮峠もトンネルや切通しの車道で越えてしまい、 往時の旧街道筋は(特に難所の峠越えでは)踏み跡程度を見ることも稀かも・・？しれません。今西地区と山辺地区の校区を繋ぐものか 浮峠には通学路らしい(らしかった…?)を示す古い標識を見るが豊能自然歩道の標識も立っている。
同上：腰曲輪から鞍部の竪堀と北へ続く細い尾根筋

能勢の観光スポットともなっている 長谷の棚田(日本の棚田百選)から玉泉寺?行者山?剣尾山 を結んでの良いハイキング・ルートにはなりそうです。森上の岐尼神社から 過日訪れた上杉城や訪城予定の上杉下所城の側を抜け上阿古谷を猪名川町・池田市へ抜ける府道603号(丹州街道=池田街道<摂丹街道!!?>)は、西方間近に山田城・垂水城が在るが、 森上から今西へと山田川沿いに府道602号線を直進して森上城・今西城の山麓を
浮ノ城主郭と 西面の竪堀

回り込んで行くと右手に浮峠に向かう幅狭い林道然とした車道を見送って交差する山田川を一度渡る。次に右手集落に向かう地区道が山田川を渡る橋の北詰めに朱色の鳥居と小さな石造りの祀られる小さな社が、垂水の新宮神社ともに岐尼神社と縁由深い 湯小屋の森。北東に迫る丘陵上に浮ノ城が在りました。湯小屋の森からは右手：最初の民家北側から山麓を谷に向かう草生す山道が在り、
細長い北尾根端の竪掘は広い平坦地から屈曲して落ちる

目前の鹿猪除けフエンスを開閉して 谷中を詰め上がって行くと大竪堀の下に出る。見上げる主郭部北端から延びる尾根筋側にも竪堀をみる。竪堀は 尾根向かいの東斜面にも・土橋状の幅狭い尾根を隔てて竪堀が落ちる。此処から望む主郭側だけが城郭の遺構を整えて見えるが、藪っぽい広い主郭内部は南へ続く低い曲輪群３-４段は段差も部分々を除いては、
主郭部に石列の方形基壇が有る浮ノ城

崩れてか風化したものか?曖昧になっている。 此の曲輪段南東下方に浮峠を越える山道が抜ける。嘗ては丹波・能勢・摂津の池田方面(府道603号)や府道602号で山田川沿い、 ついで鎌倉川を猪名川町杉生へ下り・宝塚・三田方面へも通じる丹州街道(摂丹街道)の要衝監視・防備の城砦だったか？。
主郭部の低い段曲輪：一部の切岸を除き曲輪形状さえ曖昧

在地土豪：西郷衆の城の一つで、山田川を挟んで西に呼応する山田城を本拠城とする西郷衆四家の一：山田氏が支配の 支城の一つとして、山田城の尾根続き西北の垂水城と共に在った城砦だったのでしょうか?。地元に城が在ったとは知られるが 「能勢の山城」著者・高橋氏による1988年の調査で、初めて比高60m程の丘陵上に所在が明らかとなっているが、城史等については不詳。
鞍部から細い尾根先の竪堀上に位置する 北尾根平坦地形

平安時代中期の寛弘７年(1010)源頼光の弟で山辺民部大輔が城主と推察されている様ですが、 遺構残存状況を山田城の遺構や其の残存状態と比較してみると、より古い築城時から 旧態然のまゝ山田城の出城・見張所程度として使用されてきたのかも知れません。主郭最高地点側の曲輪段差の側に一段の石列を 廻す方形の基壇が有る。森上城にも見た石列基壇は能勢氏が信奉した妙見を後世に祀った堂跡なのかも・・？。


吉村城　　　大谷山!? Ca270m 　　豊能郡能勢町栗栖

篠山市からR173号(能勢街道)天王峠・はらがたわ峠を越えて 能勢町山辺地区に下ってくる。東に小富士の城(山辺城・鷹爪城)の在る城山を望み月峰寺へ向かう山辺口で府道54号を見送る交差点東南側に迫る丘陵上に吉村城が在りました。吉村城には別名：大里城と呼ばれる大里集落側に城址が在るようですが未調査のまま。主城と思われる栗栖城さえ此の独立山塊の322m三角点峰と思い探索してみたが
帯曲輪西面から主曲輪

上記の通りの結果です。山辺口の次の信号交差点 ：栗栖との中程に、 橋を渡った東詰めに判り難いが焼き鳥屋の看板のある一軒だけ?の店が有り、 某氏顕彰碑らしい石碑が丘陵側に立つ。 山麓沿いに府道4号線に繋がる地区道がある。吉村城へに取付きは石碑の傍まで落ちる竪堀?状の溝を直上するか、
堀切側の分厚い主郭土塁

地区道を南へ直ぐの民家側の墓地からも踏み跡を辿れば粗同じ位置に合流する。栗栖交差点からは明月峠に向かう府道4号線に入り、 山辺川の架かる柳橋の東詰から向うほうが目指す山城を間近に望み、取付き点を探しながら進むと分かり易い。一軒家(焼鳥屋)からは 竪堀状は主郭西南の帯曲輪へ、集落側端の墓地から直上すれば激急斜面だが主郭南面の3段程の低い段曲輪に至る。
緩衝地の様な広く緩斜な尾根続きの側西面から主曲輪

能勢街道を望み・西から南へは山辺川が、東から南へは大次路川の挟まれた322m峰を主峰とする独立山塊の西端に延び出す尾根先(標高約 270m・比高約80m)に単郭(凡そ南北20mＸ東西尾根上35ー45m)の荒れてはいるが広い曲輪をもち尾根続き東端には分厚い土塁を築き堀切で遮断して城域を確保した吉村城が在る。空振りに終った栗栖城は南尾根先のピークか、東端の峰付近が大里なら・此の三方の尾根先には其々の街道警護・監視の砦があったものと想像します？。 堀切から先 ・幅広く平坦な地形は少し傾斜を加えて東西の尾根に接続するが、此処も緩斜面の尾根が延びるだけ。
主郭東端の土塁と堀切

城域にするには広大になり過ぎるので 堀切から南の旧斜面迄が城域の砦規模の単郭の城。能勢街道(R173号)を挟んで西に森上城が、北方は府道 54号を挟んで山辺城があるが、 山辺城の前衛に有って其の南口を守備する城砦だったかは未調査ながら、西方の山田城 ・浮ノ城・垂水城とともに杵根ノ宮合戦の際には、本城の森上城と共に東方を山辺城・片山城が固めて多田荘の多田城 ・山下城主：塩川氏勢力と戦った砦なのでしょう。
南面：低い段曲輪から主曲輪

吉村城の 城史詳細不明ながら平安時代中期：天喜年間以前に吉村氏の居城と伝わり、室町時代：天文年中(1532-55)には吉村備前守源盛光が居城を伝え子孫は今に存すると云う。天正７年(1579)荒木村重 (伊丹城主)に同調した能勢氏と西郷衆の諸城を攻撃した、織田信澄・塩川伯耆守国満を大将として、丹羽長秀・中川清秀等の連合軍により、山辺城(鷹爪城)の能勢義純・大町豊後守宗清・弥太郎宗治の兄弟も共に 栗栖に戦うが討死したといい、大里城・栗栖城ともに山辺城の南方を守備する城砦群だったのでしょうか？。


大里城と栗栖城
大里城(吉村城?) 　xx山!? Ca240m 　　豊能郡能勢町大里

川西市方面からはR173号の能勢トンネル(トンネル上部の丘陵に平通城が在る)を北に抜け出て直ぐ左折して府道104号に入って道なりに進むと大里の集落センター前。能勢町役場 ・浄瑠璃シアターを目標にしても約200m程手前。集落センターからも約200mで丁度中程地点を左折し府道54号に抜ける車道も 丘陵北側にも3台程の駐車スペースがある。
大里城唯一?の片堀切遺構

能勢町は 「浄瑠璃の里」としても知られるところ。語り!!?の社中というか一座があり、人形繰りを加え・人形浄瑠璃として江戸時代：文化年間(1804-18)頃からの伝統が引継がれています。また府道104号線から明月峠へと 府道4号線が分岐する大里バス停・円通寺付近は、能勢郡内唯一の古代寺院で、出土瓦片から寺院建立の開始(7世紀後葉 )から完成(8世紀中葉)に至る5-60年程で、その後平安時代以降の修復・復興等が出土屋瓦からは認められず、平安時代には凋落・鎌倉時代には消滅する典型的な古代寺院だが軒瓦の一部が高句麗様式に属する等・・ 大里廃寺と名付けられている。
東山麓の曲輪切岸・土檀と櫓台跡?居館跡らしい遺構は有るが!!?

飛鳥時代：大宝元年(701)摂津国川辺郡から能勢郡が独立し能勢郡衙(ぐんが=郡役所)を大里の地にもったことは、大里廃寺が郡寺としての性格をもち、律令制確立期から衰退期にかけての社会 ・政治状況を物語る資料を内蔵する寺院として価値が高い(現地案内板：能勢町教育委員会H2年3月参照)。大里廃寺から北 ：府道104号線沿いに拡がる大里遺跡の分散地の北西端部にに位置して大里城(推定地?)の東裾に延びている。
大里城東裾：居館の土塁・櫓台か?

下記に中央部の櫓台?と思える土塁の位置は案内板に記された周辺遺跡図の「大谷山古墳」に重なっているのかも?知れない。 上記の吉村城や栗栖城からの府道 4号線?kら府道104号に出て北進しても直ぐ。集落西に比高30m程 ・尾根上は高低差の少ない 低丘陵が南北 に約400m程延びる。丘陵尾根は南の端付近から西方の322m峰へ主尾根が延びる。 此の付近一帯に大里城が在ったか？城の規模や城主・其の位置や城史一切は不詳です。
大里城?丘陵部より山麓部に居館跡らしい遺構を見る：切岸も高い曲輪段?

出自不明のまま蒐集した 城リストの吉村城(大里城)からは、此の322m三角点峰を中心に拡がる小山塊に西尾根先に在る吉村城【天喜年間以前/天文年中：吉村盛光の居城!!?】との関連を想定し、 吉村氏関連の二つの城砦が、 天文年間(1532-55)水原盛景が居城した栗栖城に従属していたものか？。取付点を探して北の丘陵裾を西へ抜け出た田圃畦道から 谷間の池側に出て、尾根筋を辿り南端まで自然地形の平坦地!!?。大路次川沿いに宿野から亀岡市の畑野や明月峠を田尻へ越える監視所としては使用出来るのかも？。
洞雲寺下住宅地より栗栖322m(右上)と栗栖城(中央より左尾根上)

10数m下方に墓地があり、引返して西へ延びる主尾根を辿るが、凄まじい雑木藪 ・夥しい倒木に阻まれて 尾根筋から北斜面に移動して抜け出ると、藪も薄く・広い平坦尾根が西へ延びていく。城砦遺構らしいものは平坦地形の他に何も見ないが唯一：南下方へ落ちる片堀切が有るが小規模で登城の堀底道か?。 南西下方の小墓地から続寇尾根が片堀切から僅か25m程の尾根西側に着くが一部急斜面は有るが、平凡で短い枝尾根です。 主尾根は更に西へ長く平坦な自然地形が延びるだけ!!?城域は此処までと引返す。南北の広い平坦地を挟む中郭部が先程の猛烈な藪地らしいが、 前後の平坦地(曲輪?)に切岸加工や 土塁が築かれている可能性は、 中郭部にも低い？。
栗栖城麓の洞雲寺(鐘楼と石佛)

是等が大里城の遺構なのか ?は素人判断では無理だが・・尾根南端部の小さな墓地の下に貯水池があり、東下段は民家が迫るが、周囲には数段の曲輪。高い切岸をもつ曲輪には櫓台だったか土檀？もある。此の中央部を居館に周辺左右下に並ぶ 曲輪段は家臣団屋敷跡？。此の大里城?もまた栗栖城同様に場違いな位置を探索しているのかも・・？。大阪府の遺跡分布地図等資料で再確認したいが図書館等での確認未。
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栗栖城(栗栖砦・塚口城) 　　xxx　Ca270m　　　豊能郡能勢町栗栖

以前(2002.08.10)栗栖城の探索に洞雲禅寺から伸びる山頂の通信施設への巡視路専用管理道を詰め登めた事があった。低山で狭い山域の中央部に位置する山頂が城址と勝手に解釈して向かったものの・尾根上突き当たりの山頂広場には通信施設が建ち、傍らには朽ちかけた祠が祀ってあったが 周辺の尾根上のも斜面にも城砦遺構らしいものは 一切見当たらなかった。
洞雲寺

４等三角点峰(点名：栗栖322m)から南へ延び出す尾根先が府道4号がR173号(能勢街道)栗栖から宿野方面へ向かう府道104号に合流する。府道4号は大路次川を渡り名月峠を越えて田尻・野間へと通じます。尾根筋南東麓に鶏足山洞雲禅寺(曹洞宗)がある。三田永沢寺二十四世奇山玄瑞によって開創された。開基は能勢�ｮ基で師の徳を慕い栗栖山の登り、
栗栖城：城域北端?の土橋と竪堀<自然地形か?>

勝地を求めたところ山容が鶏足の似るところから 山号を鶏足山・所の名をもって洞雲寺と号したとある。�ｮ基の嫡男�ｮ貞が父の遺命により嘉吉元年(1441)釈迦牟尼仏を本尊として建立された。慶長年間(1596-1615)栗栖村・大里村の村境争いの中で火災により大里村は檀家を離れ、さらに元和年間(1615-24)日蓮宗に 帰依する旗本能勢家の預り地となると、 蓮華寺(日蓮宗)の転宗して壇家は離散し衰頽した。
　同上：土橋の先の櫓台?小曲輪

元禄15年(1702)能勢光治が田地・山林を寄付し当寺の壇家に復帰、徐々に諸堂宇を整え復興を成し遂げますが、 現：宗派に戻った?経緯は不詳。尾根先端を府道4号線に落とす此の尾根筋なら、 南下方：足元に街道筋と山辺川を見下ろし・川を挟んで片山城と呼応する位置に在って、曲輪跡等施設が残っているのかも知れません。 10年ぶりに森上城・吉村城等の山城を再訪し・改めて周辺の未訪の城を併せて、不詳だった大里城と不明のままだった栗栖城へは 洞雲寺を起点として向かった。
同上：櫓台 ?小曲輪脇から下る栗園に段曲輪

洞雲寺への車道林道はそのまま締められたゲートの奥へと延びる巡視路だが、 三角点峰から尾根筋を降ってくる2m幅の広い道は、南尾根先端部のネットが周囲を囲む果樹園(栗林)まで延びてきている。 城域と思われる南尾根上の先端付近は、栗や木材・柴等の運搬用と思われる削平道によって旧状は崩されている様子!!?。段曲輪跡と思われる栗林内の平坦段も、旧状遺構とは思えないが農園として 大きく崩されているとも考えられない。
南尾根末端部(栗園)の段曲輪

洞雲寺側に 地区入口広場(駐車場)付近からは一帯が個人所有地の栗園か・洞雲寺へも参拝者以外の立入り禁止表示板が目立ち、巡視専用林道もゲートは締り同様の表示に、 明確でない訪城探索には気が退ける。比高約70mの急斜面は果樹園以外は 密生する笹薮で立入り禁止表示が無くても侵入は無理。2m幅の山道(物資搬送用林道?)が延びる南尾根筋には、 城域と思われる南東側に30m程の竪堀状があり、堀溝の外側にも幅広い堀状・尾根筋は切り崩され土橋状を渡ると1m幅の山道を折れて下る下方が明るく開く。 尾根幅10mは東西の尾根端が一段低く通路状になっている。
眼下に山辺川を挟んで望む片山城

切岸段差も曖昧な5-6段の曲輪が一列に並ぶ。全体が栗園で周囲にネットフエンスが廻る。末端部からは崖状西真下には栗栖集落の府道4号線が見える。西?南へ山辺川を見下ろし・川を挟んで 正面には片山城、西に遠く三草山が望まれます。天文年間(1532-55)城主水原右衛門尉(源)盛景・水原(源)六郎光景の居城で、 天文18年(1549)塩川伯耆守に攻められた杵根ノ宮合戦はじめ能勢氏と塩川氏の遺恨・因縁の小競り合いは多いが、
南尾根末端部(栗園)から山辺川(西南下)

天正７年(1579)織田信長の摂津攻めの際、 織田信澄・塩川伯耆守国満による連合軍の攻撃を受け、六郎光景の時に落城したと云われます。天文年間?天正年間にかけての戦いの城砦には防禦性に弱く、西郷衆・東郷衆等能勢勢力の知らせ(通信)の城として、森上城 ・片山城・北背後の山辺城への狼煙場ともなったのでは？。


岐尼神社 　　能勢町森上

嘗ての枳根庄内の一・森上の地に鎮座する岐尼(きね)神社は能勢町内に３つある 延喜式内社の一つで、摂津源氏・清和源氏の祖：多田源氏の多田満仲が祭神の一柱として祀られる。隣国：川辺郡多田には多田満仲らを祀る多田神社が在り、一帯の武士団が多田御家人として多田社に奉仕し、 その筆頭とされるのが川辺郡一蔵城(山下城)の塩川氏。此処：岐尼神社は塩川(多田)国満の侵攻による杵根ノ宮合戦や 江戸時代天保8年7月(1837)大塩平八郎の乱などに誘発されて起こった「能勢騒動」の発起点になる等：能勢における歴史的大事件の舞台にもなっています。 首謀者山田屋大助の生家は山田村にありました。
延喜式内社：岐尼神社

社は 延歴元年(782)の創祀以来、代々朝廷の勅願所であり、 また将軍家代々の御祈願所であったという。祭神に天孫瓊々杵尊・中臣氏：藤原氏の祖神「天児屋根命」・大名草彦命の子「枳根命」と多田源氏の祖源満仲を祀る。 摂津源氏=の祖となるのが�ｮ光【大江山の鬼退治伝説で知られる】で満仲の嫡男。瓊々杵尊は天孫降臨神話に登場する神で、岐尼神社の天孫降臨の伝来に、杵尊(岐尼神)が南の小丘に降臨したもうたとき、 土民は臼の上に杵を渡し荒菰を敷いて迎えたという。社名「きね」の起源と考えられ、 森上が枳根荘の一部であったことから「枳根・枳禰・杵宮」あるいは「杵大明神」とも呼ばれていた。 天下った丘は天神山と呼ばれ、天文18年(1549)杵根ノ宮合戦に侵攻してきた山下城主(川西市：塩川伯耆守国満が布陣したのが 稲地地区の天神山と云う。この戦闘は森上城主：能勢小重郎を大将とする西郷衆の勝利に終わった。勝敗は”時の運”として討たれた塩川氏や将兵を埋葬した「多田塚 」が合戦跡を今に伝えている。ついで元亀2年12月(1571)織田信澄が乱入する等・度重なる兵火により社殿や古文書類を焼失してしまう。関ヶ原の合戦・戦乱のほとぼりが去った慶長10年(1605)大田和泉守により 社殿を再建され、享保12年（1727）にも修復されたのが今に残る社殿という。
(現地：岐尼神社の能勢町教育委員会案内板　広報のせ”文化財への道”等を参照 )


湯小屋の森(湯小屋の祠) 　　能勢町山田

延喜式内社の岐尼神社との縁由が深く、岐尼神社秋の祭礼のお旅所。古くは神霊の神輿が先ず此処に渡御(御幸)され、其処で霊水のお湯が捧げられ、ついで御祭神に母神(イザナミの命)の鎮座する新宮神社に渡られる (御幸)され厳かに祭事が行われた。 岐尼神社の神は此の湯小屋の湯で産湯されたと云い、嘗ての山田村の神事が執り行なわれる際には、此の”湯小屋の森”で精進潔斎をし水を浴び沐浴したところと伝え、さらには里人らの産後の湯篭りをした所とも伝えられます。
湯木屋の森

子育て・家事・野良仕事と厳しい労働を強いられる女性にとって・つかの間の慰労 ・休息の期間だったのかも?。古来より神霊が神幸する御旅所は最も清浄な地とされており、此の地は谷が拡がりはじめ、村が一望される地にある。更に神霊の禊には付近に湧出る塩水(鉱泉)こそ、 より一層浄祓には効験があるとされます。一般に御旅所は本社<岐尼神社>から1-2km離れたところとされ、此の湯小屋の森は正に適地と考えられます。
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新宮神社と垂水の大日堂　　能勢町垂水

以前：山田城訪城の際には城址からの尾根東末端の 最初の民家手前の栗林から取付き延々尾根上を目指したが、未訪の垂水城を探していて新宮神社から行ける事が判った。 山城へは狭い地区内に駐車スペースを探すことが先決問題。新宮神社は御祭神に”イザナミの命”を祀り、延喜式内社：岐尼神社秋の祭礼のお旅所で、上記 湯小屋の森を参照して下さい。
新宮神社

イザナミの命は 岐尼神社の祭神の母神と云う。新宮神社の西側を北の谷間に進む道が地区道の面して高石垣の上の境内に建つ大日堂前を通り抜け、 直ぐ先で林道となる貯水池の横から山田城の主郭へ西斜面から直接入れる。大日堂の仏像は・南方の三草山から西へ尾根を辿ると兵庫県川西・猪名川の府県境尾根に在る堂床山584mから仁頂寺・杉生の至る(H9.12．21トレース)。
垂水の大日堂

山岳宗教が盛況だった頃の堂床山の堂宇も荒廃し、雨曝しとなっていた仏像を寛永5年 (1628)垂水の某氏が背負い山を降りたが、此処まで来て身動き出来なくなったので此処に安置したと伝わる。おそらく仏像は新宮神社前から府道602号に出て浮峠を越え、北摂：山岳宗教のメッカ的存在？の剣尾山か 其の麓の寺院に納め安置するつもりだったのかも？。木造大日如来坐像と脇侍の二天像（増長天・持国天）共に一木造りで平安時代中期の作とされます。
(現地：湯木屋の森 ・H8．3　現地：新宮神社・H15.3 能勢町教育委員会案内板　を参照)

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